中国日本商会は、2020年12月28日、日中間の往来に関する要望書を中華人民共和国外交部ならびに商務部、関係各省・市政府などに送付いたしました。
北京市(外事弁公室) (発展改革委員会) (投資促進服務中心)
【内容】
1.ファストトラックの運用手続の早期明確化・合理化
2020年11月30日から日中間の往来においてファストトラック(ビジネストラック)の運用が開始されたにもかかわらず、中国側からその内容や利用手続が明らかにされていません。中国に居住する駐在員が日本へビジネス目的の出張をし、中国に戻ってきた際、仮に2週間の集中隔離措置が求められた場合、企業にとっては大きな負担となってしまいます。
このため、ファストトラック(ビジネストラック)に関する運用手続を可能な限り速やかに明らかにするとともに、その運用手続について、実際に企業が利用できるような合理的な内容(例:帰国後14日間自宅と勤務先の間の移動を認める)とし、企業に過大な負担を負わせることがないよう要望します。
2.日本との直行便の早期再開及び再開済み路線の増便
2020年9月から一部の国と北京の間の直行便が再開されているものの、日本との間ではまだ再開されていません。日中関係や北京との円滑な往来の重要性に鑑み、日系航空会社による速やかな直行便の再開を要望します。
この外、中国内でまだ日系航空会社の直行便の再開に至っていないその他の都市(瀋陽、天津、武漢、成都、厦門等)についても、直行便の速やかな運航再開を要望します。
また、特に、在留日本人が最も多い上海については、既に日系航空会社の直行便が再開されているものの、供給量が不足しています。上海を始め、既に直行便が再開した路線についても、早期の増便を要望します。
3.ビザ取得に必要な招聘状の迅速な発給
日本人が中国をビジネス目的で訪問するためのビザ取得には、各省市政府が発行する招聘状が必要ですが、この招聘状の発給が停止されていたり、滞っていたりする事例が多くあります。一部駐在員の招聘状については、省市政府の各部局のいずれもが担当ではないと主張して申請を受け付けない状況が数か月以上続くなどの問題も生じています。
また、駐在員の家族に対する招聘状の発給は11月以降、停滞しています。日中両国間の往来が自由にできない状況下において、駐在員の家族が長期にわたり別居生活を強いられています。
このため、駐在員の家族を含め、必要な人員のビザ手続に必要な招聘状の迅速かつ円滑な発給を強く要望します。
さらに、留学ビザの発給が停止されているため、若手人材が中国内の大学に留学できず、企業の人材育成が滞っています。日中間のビジネス人材を育成する観点から、留学ビザの速やかな発給を要望します。
4.集中隔離環境の改善と集中隔離期間の短縮
中国に入国後の隔離は、防疫上やむを得ない措置であると理解しています。また、一部受入れ地の地元政府や隔離ホテルの関係者に献身的に対応いただいていることに感謝いたします。
しかしながら、全ての受入れ地において、良好な隔離環境を提供いただいているわけではありません。中国に入国し集中隔離を受ける日本人の中には、中国に来るのが初めての人や中国語が分からない人、小さな子供連れの人などがいます。このような方々が隔離生活中に不安を感じることがないよう、日本語ができる係員の配備、日本語のテレビ放送、日本食や子供向けの食事の提供などを要望します。
また、衛生環境確保の観点から、部屋は窓があり、室内温度の調整が可能なものとするとともに、タオルやシーツを頻繁に交換するよう要望します。
さらに、集中隔離期間中にもテレワークができるよう、Wi-Fi環境の整備を要望します。
日本からの入国者は、入国前にPCR検査とIgM抗体検査を受け、陽性者でないことが確認されています。被隔離者の負担軽減を図る観点から、上海で実施されているように「7日間の集中隔離+7日間の自宅隔離」「小さな子供連れの場合は自宅隔離」の全国的な適用を要望します。
5.集中隔離終了後の各都市における追加隔離措置の廃止
都市によっては、入国後の14日間の集中隔離の後、独自のルールに基づき追加の隔離措置を求めているところがあります。実際に、14日間の集中管理に加えて更に14日間の隔離を求められている例もあり、ビジネス活動に大きな支障を来しています。
このため、一部の地方都市による追加の隔離措置を廃止し、多くの都市で実施されているような健康観察にとどめるよう要望します。
(以上)